空き家の相続人不明の場合の流れ

[相続財産管理制度手続きの流れ]
 
⑴ 概 要
相続人の存在、不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をした場合も含まれる。)には、家庭裁判所は、申立てにより被相続人(亡くなった方)の債権債務関係の清算を行うこと等を目的に相続財産の管理人を選任する。(民法第 951 条以下)。
 
⑵ 申立人
・検察官及び利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)
※市町村も被相続人との間に用地買収の計画がある、税金の滞納、損害賠償請求権があるような場合申立てできる。
 
⑶ 管 轄
・被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
 
⑷ 効 果
・相続財産管理人は被相続人(亡くなった方)の債権者等に対して、被相続人の債務
を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
・特別縁故者(被相続人と特別の縁故のあった者)に対する相続財産分与がなされる場合もあります。

相続財産管理人選任の申立て

 
⑸ 申立てに必要な費用
①収入印紙 800 円、②連絡用の郵便切手、③官報公告料 3,670 円
 
⑹ 申立てに必要な書類(標準的な場合)
①申立書
②被相続人の生涯全ての戸籍謄本等
③被相続人の父母の生涯全ての戸籍謄本等
④被相続人の子(及びその代襲者)の生涯全ての戸籍謄本
⑤被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本等
⑥被相続人の兄弟姉妹で死亡者がいる場合、その兄弟姉妹の生涯全ての戸籍謄本等
⑦代襲者としての甥姪で死亡者がいる場合、甥姪の死亡の記載がある戸籍
⑧被相続人の住民票除票または戸籍附票
⑨財産を証する書類(不動産登記事項証明書、預貯金及び有価証券の残高証明書等)
⑩利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料として戸籍謄本、金銭消費貸借証書の写し等)
⑪財産管理人の後補者がある場合には、その住民票または戸籍附票

  

予納金納付  相続財産がほとんどないような場合に、管理費用にあてるため、家庭裁判所で事情を斟酌して通知する額を予納する。

審 理 ⇒ 関係官署に対する調査、親族や財産管理人候補者への照会

 
・戸籍上相続人が存在しない場合
・戸籍上相続人がいるが、相続放棄等により、相続資格がない場合
・戸籍上相続人がいないが、包括受遺者がいる場合
・相続財産が存在することの確認
 


審 判 ⇒ 相続財産管理人の選任(弁護士、司法書士等)

権限外行為許可の申立て

許可審判

相続財産の管理・保存を超える行為は別に裁判所の許可が必要です。
許可必要な行為:建物の解体、不動産の売却
許可不要な行為:建物の修繕、債務の履行



相続財産管理人の公告

↓2か月後経過

相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告
※受遺者=遺言により遺産を取得した者をいい、相続による場合は含まない。

↓2か月後経過


相続人捜索の公告

↓6か月後経過

(公告期間満了)相続人不存在の確定   

相続人捜索の公告

↓3か月以内

特別縁故者に対する財産分与の申立て

却下の審判

分与の審判
分与の実行


相続財産管理人に対する報酬付与の申立て

報酬付与審判


国庫引継ぎ

管理終了 ⇒ 管理終了報告書を裁判所に提出
 

補足説明

Q1.市町村は申立人になれますか。
A. 相続財産につき買収を計画しているなど、用地買収を計画しているとか、税金を滞納しているとか、損害賠償請求権があるなど、債権債務がある利害関係人である必要があると考えられますので、専門家とご相談ください。
 
Q2.相続財産管理人の報酬はどのように支払われるのですか。
A. 相続財産から支払われます。ただし、相続財産が少なくて報酬が支払えないと見込まれるときは、家庭裁判所から一定の額(家庭裁判所及び事案により異なる。)の予納を命じられます。
なお、当該空き家の売却や他の財産や負債の清算等で残余があった場合には、予納金が返還される場合があります。
実例では、市街地では 50 万円ぐらいですが、山間地では 150 万円ぐらいとなる場合もあるようです。
 
Q3 予納金について、どのような場合に民事法律扶助制度を利用できますか。
A. 申立人が個人の場合で、相続財産管理人選任申立を弁護士・司法書士に依頼したいが、申立人の収入や資産が乏しい場合、民事法律扶助制度を利用する方法があります。
 民事法律扶助制度は、経済的にお困りの方を対象に、弁護士・司法書士費用を立替える制度です。申立にかかる予納金も審査のうえ、50 万円を限度に立替えできる場合もあります。利用に際しては、日本司法支援センター地方事務所(法テラス)へお問い合わせください。
 
 
Q4.相続財産管理人が、相続財産を処分する必要がある場合、どのような手続きが必要になりますか。
A.「権限外行為許可」という手続きが必要になります。建物等の解体や相続財産を処分する行為は、財産管理人の権限を越えていますので、このような行為が必要な場合は、別に家庭裁判所の許可が必要となります。
(許可が必要な行為の例)不動産の売却、建物等の解体 等
(許可が不要な行為の例)建物等の修繕、債務の履行 等
 ⇒ このため、相続財産管理に係る空き家を市町村が買い取り、建物の除却及び跡地活用等を図るような場合、相続財産に属する建物及び土地の売却は、家庭裁判所の許可を得た上で、市町村は相続財産管理人と売買契約を結び、相続財産管理人から建物及び土地を取得することになります。
 
≪参考文献≫ 裁判所HP記載内容/相続財産管理人の選任
(http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_15/)